サブスクリプションビジネスでは、「一度きりの取引」ではなく「長期的な関係性」から価値が生まれます。しかし、多くの B2B 企業の Order to Revenue(OTR)プロセスやプロダクトカタログは、いまだに単発取引前提で設計されており、成長のブレーキになっていることがあります。
Zuora のシンクタンク Subscribed Institute は McKinsey & Company と共同で、サブスクリプション企業のベンチマークデータを分析し、成長企業に共通するプロダクトカタログ(オファリングアーキテクチャ)の設計を整理しました。
英語版レポートはこちらです:
Product Catalog Optimization - Zuora
なぜプロダクトカタログ最適化が重要か
サブスクリプションが拡大すると、次のような課題が生じがちです。
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プランやオプションが増えすぎて、営業もお客様も分かりにくい
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割引や特例対応が積み重なり、収益性やパフォーマンスが見えづらい
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新しい価格モデル(ユースベース・成果連動など)を試したくても、既存の設計が足かせになる
この結果、
といった問題が起こります。
成功企業に共通する 3つのポイント
Subscribed Institute と McKinsey の分析から見える、代表的なポイントを 3つに絞ってご紹介します。
1. 関係性ベースでカタログを設計する
顧客ライフサイクル(導入期・拡張期・成熟期)を意識し、ライフサイクルごとに適したプランやアップセルパスを用意します。「今だけ売れるプラン」ではなく、「関係性の成長を支えるプラン構造」を意図的に設計する発想です。
2. シンプルさと柔軟性のバランスを取る
表側は少数の分かりやすいプランに絞りつつ、差別化はアドオンやユースベース課金で表現します。これにより、営業・お客様にとってはシンプルでありながら、ビジネス側は柔軟に価格戦略を組み立てられる状態を目指します。
3. OTR 全体から逆算して設計する
見積・契約、課金・請求、収益認識、レポーティングまでを一連のプロセスとして捉え、「会計・分析のしやすさ」も踏まえてカタログ構造を決めます。ビジネスとファイナンス、システムをつなぐ“共通言語”としてプロダクトカタログを位置付ける考え方です。
エージェント型 AI の料金モデルとのつながり
別の記事「The Four Kinds of Agentic AI Pricing Models」では、エージェント型 AI の料金を、次の 4つのアウトカムで整理しています。
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Per Agent(エージェント単位)
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Per Activity(アクティビティ単位)
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Per Output(アウトプット単位)
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Per Outcome(成果単位)
ここでの本質的な問いは、「顧客は何に対してお金を払っているのか」を明確にすることです。プロダクトカタログ最適化も同じく、顧客価値の定義から逆算して、プラン構造や価格モデル、OTR プロセスを設計していくアプローチと言えます。
おわりに
プロダクトカタログは、「どのプランがあるか」を並べるリストではなく、自社のサブスクリプション戦略そのものを映し出す設計図です。
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関係性を前提に
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シンプルさと柔軟性のバランスを取り
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OTR 全体から逆算して
自社に最適なオファリングアーキテクチャを描くうえで、今回の「Product Catalog Optimization」レポートが、皆さまの議論のたたき台になれば幸いです。